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ハイパーテクニックおじいちゃん
第9章 おとぎ話
お互い飲み尽くし語り尽くし、終電も近づいた為、お開きにする事にした。
会計伝票が来るのを待ちながら、菜々子が言った。
「美里、本当は今、気になる人いるんでしょ?」
美里は菜々子の勘の良さに、ドキッとした。
「すぐ答えられないって事は、ヤバい人なの?」
「……ヤバくは無いけど」
「けど?」
「例えるなら、浦島太郎かな」
「何それ?その人が浦島なの?それとも美里?」
「浦島は彼。私は……亀かな……」
菜々子は爆笑した。
「おじいさんになっちゃうじゃん」
その時、会計伝票が来た。
支払いを済ませ、店を出る。

「バイバーイ、今度詳しく浦島の話聞かせてね〜」
駅で、お酒が入ってテンションが高くなった菜々子と別れた。
電車内で美里は思った。
今の寛は、玉手箱を開けた後の浦島だ。
おとぎ話には、玉手箱を開けた後の続きは無い。
おじいさんになった浦島寛が、再び亀に出会ったら、また一緒に竜宮城へ行ってくれるのだろうか……。
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