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ハイパーテクニックおじいちゃん
第16章 引っ越し
引越し前夜。

美里は前もって友達の菜々子に、引越し先へ来てくれるように頼んでいた。
念の為、前夜も電話を入れると、引越しとは関係の無い雑談で盛り上がってしまった。

「彼、最初は未練タラタラだったけど、私が毅然としてたら了承してくれた。まあ、こんな日が来るのも覚悟してたんじゃない」
例の不倫男性との別れ話だ。
菜々子は何とか上手いこと別れられたようで、美里も安心した。
「美里は浦島とどうなったの?」
「ん、別れた」
「あれ、いつの間に始まってたのよ?」
「まあ、一瞬かな」
「セックス下手くそだったの?」
「いや、最高だったよ」
「なんだそりゃ」
菜々子が電話越しに呆れているのが分かる。
「ところでさ、別れたんなら、今度一緒に街コン行かない?」
「街コン?」
「そう、居酒屋でやってる相席コンパ。前から行ってみたかったんだけど、基本男いたら行けないじゃん。やっと行けるからさ、新しい彼氏作りに行こうよ」
菜々子は相変わらずフットワークが軽いなぁと感心する。
「まあ、考えとくよ」
「うん、よろしくね」
美里は即答はしなかった。
寛の事は元より、まずは引越しが終わらないと精神的に落ち着かなかったからだ。
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