この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ハイパーテクニックおじいちゃん
第16章 引っ越し
いつものように口元には笑みを浮かべていたが、瞳は潤んでいるように見えた。
「寂しくてなるね」
そう言われると、美里も貰い泣きしてしまいそうだ。
「これ、餞別だよ」
寛から、何やら紙袋を手渡された。
中をそっと覗くと、洋形封筒とプレゼント用のリボンがついた半透明なビニール袋が入っていた。
「ありがとう」
次の言葉が見つからない。
気がつけば、涙が頬を伝っていた。
すると、寛に抱き寄せられた。
仕事中の汗の香りがする。
突然、ふわっと風が舞った。
「もう行かないと」
お互い体を離すと、手を取り合った。
そして、手を繋いだまま、階段を下りた。
マンションの敷地の端まで来たら、二人は立ち止まった。
「元気でな」
寛が繋いでいた手を離し、その手を振った。
美里も一歩二歩、手を振りながら歩き始めた。
何度も振り返りながら進んで行く。
寛の姿がどんどん小さくなって行く。
四つ角まで来て、美里は最後に両手で大きく手を振った。
寛はいつもの優しい笑顔だった。
「寂しくてなるね」
そう言われると、美里も貰い泣きしてしまいそうだ。
「これ、餞別だよ」
寛から、何やら紙袋を手渡された。
中をそっと覗くと、洋形封筒とプレゼント用のリボンがついた半透明なビニール袋が入っていた。
「ありがとう」
次の言葉が見つからない。
気がつけば、涙が頬を伝っていた。
すると、寛に抱き寄せられた。
仕事中の汗の香りがする。
突然、ふわっと風が舞った。
「もう行かないと」
お互い体を離すと、手を取り合った。
そして、手を繋いだまま、階段を下りた。
マンションの敷地の端まで来たら、二人は立ち止まった。
「元気でな」
寛が繋いでいた手を離し、その手を振った。
美里も一歩二歩、手を振りながら歩き始めた。
何度も振り返りながら進んで行く。
寛の姿がどんどん小さくなって行く。
四つ角まで来て、美里は最後に両手で大きく手を振った。
寛はいつもの優しい笑顔だった。