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異常行動が日常行動のオンナ【完結】
第3章 企みあう姉妹
その1



その日…、郡ツグミは桜木正樹の弟、ケンと駅のコーヒーショップで会っていた。


「じゃあ、お姉ちゃん、またねって…、ケンにはそう言って別れたのね?」


「うん…。最後はまあ、笑って手を振ってね」


「ケン…、それ、お姉ちゃんがあなたをあきらめてないって宣言だよ!気をつけて…」


「…ああ、わかった。でよう、ツグミ…、お姉さん、なんでオレなんかに…」


ツグミはここでどこまで彼に告げようかと迷ったが…。


「お姉ちゃん、もう人間を殺すことを我慢できなくなってきてる。ケン…、もう間違いないよ。お姉ちゃん、正樹さんをターゲットにしたの、ケンのお兄ちゃんだからだ。あなたと私の”いきさつ”も知った上で…」


「…」


さすがにクールドライのケンにも察しは簡単について、すぐに焦燥感が湧きあがってきた。


”ツグミをオレが淫行した…。その申し合わせを既定事実としてあの人が解釈していたら…”


桜木ケンは表情には現さなかったが、背筋が凍るような思いを禁じ得なかった。


***


”ツグミぃ~、あんたはやっぱ、お姉ちゃんと同じ血を持ったホントの妹だわ。桜木の弟使った私を煙に巻く予備手段で、”あんな申し合わせ”をしていたんだもんな…。しかも、桜木ケンが転校早々スジ見せしたってんで、お仕置きのオーダーを受けたから丸坊主の刑喰らった”後処理”に絡ませて…。やるわねえ、中学娘のクセしてさ(笑)”


”あんたは引きこもりに入る際、対学校側にイカレた姉ちゃんのことだけが原因じゃないことを暗に植え込んだ。センコー連中には同級生に性的ないたずらを受けたと臭わすだけで、その行為の度合いもオブラートに包んだ上、相手が桜木ケンであることは伏せて欲しい意向を申し出たよな。だから、ツグミの保護者である私には学校側もあいまいな伝え方に留めていたわ。あんたさあ~、その辺を綿密に計算に入れてた訳だよねえー…”


自室の床に胡坐をかき、煙草のケムリをくゆらせてながら、郡氷子は何ともな薄笑いを浮かべている。




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