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異常行動が日常行動のオンナ【完結】
第4章 猟奇的なリハーサル
そんな勝股を氷子は射るような視線で、しばし無言のまま何かを深く推し量るような様子だった。


「そう…。なら、いいわ。とにかくコト暁となったらさ、私の残したものは半分あなたに上げる。その代わり、妹の分を1円たりとも手をつけるようなマネしたら、私は死んでもゾンビになって、あなたのはらわたを食いちぎにくるから。監視カメラは生きてる人間ってこともあるのよ。最後だからって私をナメたら、死んだ後まで悔いを残すこと、忘れちゃダメよ」


何とも凄まじい”念押し”だった。
その種の修羅場は数えきれないほどくぐってきている勝股も、思わず背筋を震わせた。


「わかってますよ、氷子さん…。オレは今の今まで一度たりともあなたを裏切ったりしてませんよ!」


勝股はややムキになってそれは、訴えるような口調だった。
するとその途端、今度は氷子は大口を開けて笑い出した…。


***


「アハハハ…、そんなムキにならなくていいわよ、勝股ちゃん…。あなたとはもう長いし、信頼してるんだからさ。…でさあ、私たち、最後ってことになるかもしれないし、一発やらない?」


正直、一瞬迷ったが、郡氷子という稀代のイカレ女のことは知り尽くしている勝股は、真に受けることを拒めた。
それは抱えるリスクの回避に相当する選択だった。


だが、断りの言葉ひとつ間違えればこの女に”発作”を起こさせる恐れがある。
それだけは避けなければならない。
彼は咄嗟ではあったが、一転、正攻法に出るのだった…。




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