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異常行動が日常行動のオンナ【完結】
第4章 猟奇的なリハーサル
その2



「…いやあ、あのう、自分なんかはとても氷子さんの相手、務まりませんから。勘弁してくださいよ…」


「キャハハは…、冗談よ。あなたが祖チンなの知ってるから。ハメたきゃ、とっくに迫ってるって」


「…」


これはかなり微妙な反応であった…。
無論、氷子とは長い付き合いの勝股が敏感に”それ”を察知したのは言うまでもない。


”もうこれっきりだ。ここで逃げ切りゃ、この女の残した財の半分はいただける。うまくいって死んでくれれば尚の事嬉しいが、最後まで気は許せん。ここは言質をとらないと…”


***


「あのう、氷子さん、気を悪くしてませんか?」


「別に。あんたとはまあ、うまくやってこらたんだし。感謝もしてるわよ、私みたいな狂人と最後まで付き合ってくれたんだもの。私だってまだ抑えは効くから、大丈夫よ。でもねえ…、他のヤローだったら違ってたわねー。アハハハ…」


なんとかセーフ…。
勝股はこれで最低限の安心を得た。
しかし、彼は用心深かった。


”もしオレへの誘いが裏の裏をかいたカマ掛けだったら…。その場合のシグナルを読み違えたらヤバい…”


「でさあ、今夜また誰か、気の利いたの寄こしてよ。言っとくけど、勝股ちゃんの代役ってのとは違うわよ。わかってると思うけど」


「…」


氷子は勝股を”念入れ”で試し、その反応を見てとった上でいわゆるメッセージを送った。
そして勝股はここで彼女のシグナルを読み込むことができたのだ…。


***


その日の午後…。
勝股は郡氷子の夜の相手を前にし、特別な訓示を出していた。


「いいか、ヨシキ。今夜はお前の方から”出て”いけ」


「あのう、でも、どうやって…。自分、やっぱり自信ないですよ…」


「いや、この期に及んで下手な趣向など考えなくていい。まな板の鯉になったと態度で示せばいいんだ。…今日、あの人に会って、オレにしか伝わらないシグナルが送られてきたんだ。氷子さんは中学生のガキを犯すシュミレーションンを描いてる。お前がその練習相手になってやるんだ」


「…」


ヨシキには、”上司”の言っている主旨が今一つ呑み込めなかった。


***


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