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異常行動が日常行動のオンナ【完結】
第6章 マッド・カウントダウン
その1



郡姉妹の積年の最終決着…。
二人の間にあった歪んだ愛と憎しみの顛末は、ついにクライマックスを迎えようとしていた。


姉の”行動”がもう間近だと確信した妹ツグミの動きは何しろ迅速だった。


”おとといお姉ちゃんが口にしたこと…、あれは私へのメッセージよ。私とケンを巻き込んだ上で桜木さんを殺すつもりよ、あの人は…”


彼女の脳裏には一昨日の姉とのやり取りがフラッシュバックしていた。


***


「…裁判相手を挑発して、お姉ちゃんを殺そうするまでの相手を探していたのね、お姉ちゃんは…。その向かってくる相手をぶっ殺すために…。で…、その相手をお姉ちゃんはようやく見つけた。その人、桜木さんなんでしょ?」


「ハハハ…、ビンゴだわ、ツグミ。さすが私のかわいい妹だ」


「お姉ちゃん、ひとつ聞きたいんだけど」


「いいよ」


「私のこと、本当にかわいいと思ってくれてるの?そうだとすればなぜ?」


「お前はイカレたお姉ちゃんと、ずっと一緒に居てくれたからだ。血が繋がってるってことは、そんなに関係ないんだ、私には。お前じゃなかったら、一緒に住んでても私が最初にぶっ殺す相手になってたと思うよ」


この夜の氷子は、こんなイカレた理由を妹に大真面目で説明した。
妹のツグミには、このイカレた姉がこれほどフランクに話をにしてくれてたという記憶はなかった。


それだけに、ツグミには氷子からのメッセージを感じたのだった。


***


「いいか、ツグミ…。今私が言ったこと、もう2度は言わないぞ。お前はお姉ちゃんのことを、私がお前のこと知ってるよりも、よく知ってる。”それ”でちゃんと判断しな」


「お姉ちゃん…、それならもうひとつ聞く。お姉ちゃんには、桜木さんという人を選ぶ理由とか根拠があったんだね?」


「そうだよ。桜木正樹っていうターゲットのことは事前に調べがついていて、以前からマークしてた。理解できたみたいだな、ツグミ…」


ここで二人の、最初で最後の本音の話し合いは終わった。
そして、ツグミはここで悟った。


”ああ…、もう完全に確信犯だよ。お姉ちゃん、目をつけてたの、正樹さんじゃなくてケンだったんだ!”


***

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