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異常行動が日常行動のオンナ【完結】
第7章 ゴーモン・ファック
その5
「…お、お…姉さん、ツグミの…、こと、まだ…好き…だとか…、その…き、気持ちはわ、わからない…。けど…、アイツが…、アイツから、そう言ってき…、きたら、拒まない…と、おもう…」
「…」
この時…、凄まじい緊迫感が二人の間に漂った。
ありのままの気持ちに従って”言葉で応えた”ケンは果たして、今、氷子の質してきたその深意を承知しての返答であったのか…。
しかし、一方の氷子にだけはケンの真意は量れた。
その上で、彼女は桜木ケンに極めつけの問いかけをぶつけた。
***
「ケン!それって、気の狂ったお姉ちゃんに殺されるかもしれない同級生のツグミがかわいそうだとか、同情の念もあってってことなのか!」
これはもはや、桜木ケンへの踏み絵を迫ったに他ならなかった。
ケンからのリターンは端的そのもので、即だった。
首をタテに大きく振ったのだ。
それは、体にしびれが薄らいだせいなのか、かなりスムーズに歯切れよくだった。
ただし、氷子にとっては、ケンが迷いなく認めたということを突き付けられたカタチとなる。
ここに、若干中学2年の妹の同級生は、郡氷子の突き出した踏み絵を躊躇なく踏んでしまった…。
この二人のやり取りを見守るよう注視の視線を向けていた藤森と板垣は、互いに顔を見あわせると、どちらともなく、氷子とケンののすぐそばまで駆け寄った。
そして、またもこの屈強なアウトサイダー二人は共に胸の中でこう呟くのだった。
”桜木は地雷を踏んじまいやがった!”
***
氷子はしばらく眼下のケンを無言で見つめていた。
おそらくは、その目で彼には多くを語りかけたのではないか…。
しかし彼女は、ここに至り、”自分自身”が下す判断に従うだけであった。
そしてそれこそが、藤森と板垣が恐れていた展開ということになる…。
「…お、お…姉さん、ツグミの…、こと、まだ…好き…だとか…、その…き、気持ちはわ、わからない…。けど…、アイツが…、アイツから、そう言ってき…、きたら、拒まない…と、おもう…」
「…」
この時…、凄まじい緊迫感が二人の間に漂った。
ありのままの気持ちに従って”言葉で応えた”ケンは果たして、今、氷子の質してきたその深意を承知しての返答であったのか…。
しかし、一方の氷子にだけはケンの真意は量れた。
その上で、彼女は桜木ケンに極めつけの問いかけをぶつけた。
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「ケン!それって、気の狂ったお姉ちゃんに殺されるかもしれない同級生のツグミがかわいそうだとか、同情の念もあってってことなのか!」
これはもはや、桜木ケンへの踏み絵を迫ったに他ならなかった。
ケンからのリターンは端的そのもので、即だった。
首をタテに大きく振ったのだ。
それは、体にしびれが薄らいだせいなのか、かなりスムーズに歯切れよくだった。
ただし、氷子にとっては、ケンが迷いなく認めたということを突き付けられたカタチとなる。
ここに、若干中学2年の妹の同級生は、郡氷子の突き出した踏み絵を躊躇なく踏んでしまった…。
この二人のやり取りを見守るよう注視の視線を向けていた藤森と板垣は、互いに顔を見あわせると、どちらともなく、氷子とケンののすぐそばまで駆け寄った。
そして、またもこの屈強なアウトサイダー二人は共に胸の中でこう呟くのだった。
”桜木は地雷を踏んじまいやがった!”
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氷子はしばらく眼下のケンを無言で見つめていた。
おそらくは、その目で彼には多くを語りかけたのではないか…。
しかし彼女は、ここに至り、”自分自身”が下す判断に従うだけであった。
そしてそれこそが、藤森と板垣が恐れていた展開ということになる…。