この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛を嗅ぐ【完結】
第9章 困った副作用
困った副作用
「先生…、私、なんて感謝したらいいのか…。何だか、急に体が軽くなったような気がするんです」
「それは、心の中に自分で長い間ため込んでいた、ぬめりを取っぱらえたからだよ」
”ぬめりか…。確かにそんなものだったのかもしれないわ。私がずっと心の中に抱え込んでいたものって…”
「とにかく、逆療法の荒療治だったが、あなたの症状は治まったはずだから。まあ、1か月程度経ったら一度来てもらって、様子をうかがいますよ」
「はい。ホントにありがとうございました…」
R子は自宅アパートの前まで送ってもらったW氏の車が視界から消えるまで、手を振り続けていた…。
***
それから約1か月後…。
R子は指示通り、W氏のクリニックを訪れた。
「えっ?他人の幸せを壊したい欲求がまた出てきたというんですか、R子さん…」
W氏はやや怪訝な顔つきで聞き返した。
「いえ…、以前のように妬んだりって気持ちは、おそらく人並み程度になったと思うんです。ですから、もう、人が幸せそうにしてるだけで許せないとかって思いは全くなくなりました。でも…」
「でも、どうしたんですか?何か副作用のような症状でも出ましたかな…」
「まあ、あの時の逆療法の副作用というか…。実は…、私、人がラブラブとかで強い妬みを持ったことを認めて、全部さらけ出して許しを乞い、お仕置きされたあの快感が忘れられないみたいで…。いっそ、ああいった、人間としては最低の心ない行為をした自分を責めてもらいたい、そんな衝動がどこかに生まれちゃったようなんです」
W氏は目をぱちくりさせて、彼女の言をかみ砕いていた…。
***
「先生…、私、なんて感謝したらいいのか…。何だか、急に体が軽くなったような気がするんです」
「それは、心の中に自分で長い間ため込んでいた、ぬめりを取っぱらえたからだよ」
”ぬめりか…。確かにそんなものだったのかもしれないわ。私がずっと心の中に抱え込んでいたものって…”
「とにかく、逆療法の荒療治だったが、あなたの症状は治まったはずだから。まあ、1か月程度経ったら一度来てもらって、様子をうかがいますよ」
「はい。ホントにありがとうございました…」
R子は自宅アパートの前まで送ってもらったW氏の車が視界から消えるまで、手を振り続けていた…。
***
それから約1か月後…。
R子は指示通り、W氏のクリニックを訪れた。
「えっ?他人の幸せを壊したい欲求がまた出てきたというんですか、R子さん…」
W氏はやや怪訝な顔つきで聞き返した。
「いえ…、以前のように妬んだりって気持ちは、おそらく人並み程度になったと思うんです。ですから、もう、人が幸せそうにしてるだけで許せないとかって思いは全くなくなりました。でも…」
「でも、どうしたんですか?何か副作用のような症状でも出ましたかな…」
「まあ、あの時の逆療法の副作用というか…。実は…、私、人がラブラブとかで強い妬みを持ったことを認めて、全部さらけ出して許しを乞い、お仕置きされたあの快感が忘れられないみたいで…。いっそ、ああいった、人間としては最低の心ない行為をした自分を責めてもらいたい、そんな衝動がどこかに生まれちゃったようなんです」
W氏は目をぱちくりさせて、彼女の言をかみ砕いていた…。
***