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第4章 シュミレーション療法

「わかりました。それで…、彼女があなたに償いの行為を終えた後、あなたはもう今までの心が解放されてるはずなので、そこで試すんです」


「あの…、何を…」


「人を愛する努力を厭わず、相手とより添えるか…」


「えっ…、それって、どういうことですか？」


「Ｕ子さんへあなたのが示す贖罪行為は、私とあなたの心の中にある男性、二人が場外で見とっています。その場合、Ｕ子さんは私とその男性、ああ、Ｙ氏になりますが、その二人の存在は”見えません”。あくまで卑劣な行為で結婚を潰したあなたとの二人きりの決着です。それが終われば彼女は”退場”し、Ｙ氏が心の矯正を終えたあなたと互いに愛する努力を以って、肉欲、性欲の昇華を二人で遂げることにトライするんです」


「…」


＊＊＊


「で、私はそこでも場外ですが、立場的にはＵ子さんとのパートもＷ氏との場でも常にあなたへの誘導役、トレーナーとしてその都度でアドバイス指示を投げかけます。まあ、これが矯正の施術に当たると考えてください。何しろ今日一晩で終わる。あなたが長年抱えてきた心の枷は、今夜で消えてなくなるんです！」


「先生、ぜひ、お願いします！」


Ｒ子はここ数年来見せたことなかった清々しい顔で、Ｗ氏に深々とお辞儀をするのだった…。


「では、さっそく私の車で向かいましょう。３０分で着きますから」


こう言ってＷ氏は私服に着替えると、Ｒ子を伴って愛車のレクサスでＵ子邸に向かった…。