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愛を嗅ぐ【完結】
第5章 償い
償い



U子は30歳になったばかりだという。
この家は、数年前に交通事故で他界した夫と住んでいた、東京北部の一軒家だった。


「…R子さん、私は最初だけ挨拶して、その後はU子さんの視界から消えた立場になる。随所であなたには声をかけるけど、U子さんはあなたとしか言葉を交わさない。その後のYさんも同様になる。彼は後5分したらここに来て、黙って君たちの展開を見てる。いいね?」


「はい、わかりました…」


「よし。では、中へ入ろうか…」


”ピンポーン!”


すぐに玄関が開き、体半分を外に出したU子は長髪の美人だった。


「ああ、先生、早かったですね。さあ、どうぞ…」


「では…。ああ、こちらがR子さんですよ。今夜の”流れ”はすべて了解してもらってるので、遠慮なくどうぞ…」


「そうですか…。U子です。R子さん、今夜はよろしくお願いしますね」


U子はにっこり笑って、R子に向かってちょこんと頭を下げた。
それを受けたR子も、「こちらこそ、よろしくお願いいたします」と言ってこちらは深く頭を下げた。


「とにかく入って下さい」


二人は家の中に入って行った…。


***


「さあ、自分はあっちのリビングで拝見させてもらいます。…U子さん”、開演”で構いませんよ」


「わかりました…」


ついに始まった…。
R子は急に緊張し、すでに顔はこわばっていた。



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