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第1章 撮影現場

そんな…



してもいいか、なんて

聞かないで




ここに来る時に

覚悟は決めてきたの

いっそ

押し倒してくれた方が…まし…




でも、今なら




引き返せる










引き返して




どうなるの？




あの、居場所のない

家で

私を必要となんてしていない

あの人と…

ただ、時間が過ぎて

老いて行くのを待つだけ…





「奥さん、悩んでる？

僕……したい。

奥さんやったら

色々してあげたい。嫌？」





「したい……の？」




「うん。

奥さんのこと

さわりたい…」





嘘でもいい





触れたいと言う

その言葉に




涙が出そうになった




「さわっても…いい？」









私は、黙ったまま




うなずいていた。