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感じさせて
第1章 撮影現場
「ホンマ?!
ホンマにホンマ?!
俺、めっちゃうれしい!
ありがとう、
奥さん、めっちゃ好きや!」


そう言って
シンヤくんは
私に抱きついた



こんな風に
もう何年も
言われたことはない

こんな言葉
私を撮影させるための
ウソだって分かってる



でも
ウソでも



求められたり
好きだと言われる事が


心地よくて

うれしくて




今だけでいい

ウソでも
愛されたいと思った



優しくされたかった



女として
見られたかった






「シンヤくん…

あの…あの…


優しく…されたいの…」




シンヤくんは
私の髪を
ゆっくり、なで始めた



「分かってる。

分かってるで。

奥さんは、寂しがり屋さんや。
当たってるやろ?

そやから、優しくする。

嫌な事、俺がしたら
すぐに言うてな。

そしたら、すぐにやめるし。」




「ありがと…」




「うさぎやな。」




「え?」




「奥さんは…
名前、教えてくれへんやろ?

そやから、うさぎちゃんや。

うさぎは、寂しがりなんやて
奥さんと、おんなじ
な、うさぎちゃん」




「うさぎ……」




私は、もう泣いて
しまいそうだった


必死にこらえたけど
目は潤んでしまっていたかもしれない





ウソの優しさにさえ

頼ってしまう程




寂しい自分が
悲しかった




「ほな、はじめよか…

でも、アイマスクしたら
顔、見えへんなるな…残念や

うさぎちゃんの顔
俺好きやのに

アイマスクするまえに
もう一回キスしてもええ?」




私はうなずいて
シンヤくんの


深いキスを
受け入れた





優しく、甘いキスだった…




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