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第1章 許嫁増殖

「でさー、そこのシェイクがスゲーうまいんだよ！」

「本当っ!?　楽しみぃ！」

有馬翔太（ありましょうた）は彼女である千樹さくら（せんじゅさくら）と最近話題のカフェへと向かっていた。
翔太とさくらは高校一年の夏休みから付き合っているからちょうど一年くらいの付き合いとなる。
お互い奥手な性格のため、一度キスしただけでそこからは進展していないという今時にしては珍しいくらい清らかな交際をしていた。

千樹さくらは古風な名前が示す通りの凛とした大和撫子を具現化したような容姿であった。
サラサラの黒髪のストレートは背中の中程まで伸びていた。
両手両脚はすらりと長く、顔は小顔。
胸が小さいのがちょっと残念だが、清楚な顔立ちにマッチしているといえばマッチしていた。
くりんと長いまつげに涼しげな奥二重は日本人女性らしい美しさを湛えていた。
肌はもっちりとしていて白く、奥ゆかしい彼女らしさを表していた。

翔太が何故さくらのような美少女と付き合っているのかと同級生からは何かとやっかみ混じりのからかいを受けた。
翔太自身もさくらと付き合っていることが奇跡的に感じるから、同級生たちの批判も当然のことのように感じていた。