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許嫁が多すぎる
第8章 第三試験
相手が男色家では枕営業のしようもなかった。

一条寺の事務所はそのプロデューサーに顔が利く大物を突き止め、その人間に枕営業をさせることを提案した。


その人物が、有馬紫水だった。


処女の一条寺は震えながら有馬紫水の待つホテルの一室に向かった。
マネージャーが付き添うと言い張ったが、一条寺はそれを必死で拒み、一人で有馬紫水のもとへ向かった。

紫水の部屋の中に入ると恐怖で足が震えた。
しかし舐められてはいけないと気を引き締めて一条寺は紫水に近付いていった。

「一条寺琴音です。よろしくお願いします」

オーディションのように固い挨拶をして一礼をする。
変わった一条寺の態度に紫水は笑いを噛み殺した。

「はじめまして。有馬紫水です」

紫水も同様に礼儀正しく挨拶をした。
紫水の態度を慇懃無礼と感じた一条寺はムッとする。

まだ中学生の一条寺はそれが顔に出てしまう。

それを見て更におかしく感じた紫水は意地悪をしてやろうと企む。

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