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許嫁が多すぎる
第9章 二日目
朝余計なことをされないように梨華に眠薬を盛られたと翔太はようやく気付いた。

「じゃあ今日は私と一日濃密な時を過ごして頂きますわ……アベル様」

しかし梨華は素知らぬ顔をしていた。
上品でいて、どこか官能的な笑みを浮かべて微笑んだ。
それは処女を翔太に捧げ、更にもう一度抱かれて女としての悦びを味わった梨華が優越感から見せる余裕でもあった。

「で、どこ行く予定なんだ? なんならヨーロッパにでも旅行するか?」

帰ってくることが不可能な場所をあげて翔太はからかった。
しかしそれは内心、半分は本気であった。

「ふふふ……そんな遠くには行けないわ。それは新婚旅行までおあずけ」

梨華は微笑みながら翔太に口づけをする。

「アベル様と私は永久(とわ)の愛で結ばれた仲なのだから……失われし記憶の破片を集めていきましょう……」

言葉の意味はさっぱり理解出来なかったが、梨華の電波発言に艶気が出ると不思議とそれっぽく感じないこともなかった。
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