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許嫁が多すぎる
第10章 三日目
数々の思い出は恋人である千樹さくらより多いことに天谷は勝ち誇った気分になる。

「てかやっぱ女は写真好きだよなー。何枚あるんだよ?」

束になったアルバムの一冊を手に取りながら翔太は笑う。

「こうやって昔の写真見たら色々と思い出せていいだろ」

「まぁそうだけどさ……てか俺の写真多いな。これは小学校三年生の頃か? 懐かしい。高石も写ってるな。コイツ今なにしてんだろう?」

「ああ高石だったらほら、根本愛美と付き合ってるらしいよ。ほら、覚えてる? よく学校休んでた愛美」

たわいのない会話も天谷にとっては心弾むイベントであった。

「あ、また俺の写真。本当に俺よりお前の方が俺の写真持ってるぞ、絶対」

「そ、そりゃそうだよっ! あ、あたしこの頃から……翔太のこと……好きだったんだぞ……」

顔を真っ赤にしながらカミングアウトする天谷に翔太は思わず口籠る。

「そ、そうなの……そんなの全然知らなかったし……」

「鈍感だから……翔太」

「そ、そうかなぁ?」

「そうだよっ……いや、鈍感っているよりあたしに興味がなかっただけか……」

「そんなことねーしっ……」

拗ねたような天谷を翔太が慌ててフォローする。

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