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大魔王の子を孕みます
第10章 新月
なのに…。
食堂で俺を膝に抱えて俺の口にパンケーキを押し込む不機嫌な大魔王様が俺を睨む。
あんなに愛し合ったのに…。
「だから…、俺が悪かったって言ってんだろ?」
「あんなに期待してたのに…。」
「しつこいぞ。」
「私は自分を大事にしろとシロに言い聞かせたはずだ。」
口答えをしようとすればライズが俺の口にパンケーキを押し込み黙らせる。
コイツの不機嫌の理由は俺が痩せたからだ。
「やたらと骨が当たって痛かった。ふわふわのシロを抱くのが楽しみだったのに…、なんの為にミルを付けたのか…、ミルと毎夜を楽しんでて食事すらしてないとか何事だ?」
しつこいライズは健在だ。
骨が当たるとか知らねえし…。
今は俺を太らせるぞと言わんばかりに俺の口へパンケーキを押し込むライズにため息が出る。
ミルとの行為を責められるならまだしも、その行為はミルが亜人だから予想済みだったとライズは軽く流したくせに、くだらない食事の件だけで俺はグチグチと責められる。
「メフィストも帰って来てるのか?」
「ああ、何故わかる?」
「パンケーキ…、ミルが作ったものと違うからな。」
ミルが作るパンケーキは平凡なホットケーキのようなものだったがライズが俺に食わせるパンケーキはふわふわで口の中ですぐに溶ける本格的なパンケーキだ。
この歴然とした差を感じれば、いやでもメフィスト作だとわかってしまう。
「そういえば、私と入れ替わりに、ミルはメフィストの匂いを感じて部屋を飛び出して行ったが…、シロの為にパンケーキを作るつもりだったのか?」
ライズが不思議そうに俺に聞く。
メフィストの匂いで飛び出したって…。
あの子は全裸のままメフィストの前に走って行ったのか?
想像しただけで頭が痛くなって来る。