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大魔王の子を孕みます
第10章 新月
妻…。
今、この女、妻って言った。
鯉のように口をパクパクする俺の口にライズは涼しい顔でパンケーキを放り込む。
「らいぶっ!」
「口にものを入れたまま話をするものじゃない。」
平然と俺に説教までするライズを睨み付ける。
「小娘…、そこを退きなさい。ワタクシは大魔王様に大事な話があるのよ。」
高飛車女が俺を見下ろしリリスだけが
「姉様っ!なりませぬと何度も言ったではないですか!」
と吠え続ける。
首筋がゾワゾワして来る。
嫌な予感がするとライズを見れば、いつもの恐怖オーラに不機嫌というスパイスが混ざりとんでもないオーラを背負ってる。
不機嫌を言うなら俺の方だろ?
妻が居るくせに俺を孕ませるとか意味わかんねえよ。
「シロ…、メフィストと裏庭の薔薇園に行っておいで…。」
パンケーキの最後の1切れを俺の口に入れるライズが命令する。
無理矢理にパンケーキを飲み込み
「薔薇園に?」
と聞き返す。
「私の奥様の為に薔薇の花を集めて来い。」
涼しい顔の男がそう言って俺の頬に口付けする。
「なんで俺が!?」
「シロは私のメイドだろ?」
今更を言われて腹が立つ。
ライズの膝から飛び降りれば、今までの会話を聞いてたかのようにメフィストが食堂の扉の前で俺を待ってる姿勢で立ってる。
要するに嫁さんのご機嫌取りかよ。
メイド遊びくらいじゃ動じないライズの嫁さんがリリスの姉…。
魔族に愛とかないから浮気とか平気って意味か?
生憎、俺は人間なんだよ。
勝手に不倫相手とかにされても迷惑だ。
嫁さんが居るなら居るって言えよっ!
こんな屋敷…。
出て行ってやる。