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大魔王の子を孕みます
第2章 大魔王屋敷
そこは、やっぱり大魔王屋敷という選択でしょ?
ギルドメンバーだって、今更、本気で大魔王討伐を楽しんでる人なんかいない。
オタクな俺の為に付き合ってやるかという同情だけしか感じない。
だったら、1人でクリアしてやるよ。
気を引き締め直して俺は大魔王屋敷に挑む事にする。
「…って、どうやって入るの?」
10m近くあるデカい格子門…。
格子の隙間に潜りたいが幾重にも幾何学模様のように折り重なった鉄の格子に人が抜けられそうな隙間なんか見当たらない。
「すみませーん…、誰か居ますか?」
冗談のつもりで門に声を掛ける。
普通のゲームなら、プレイヤーが触れただけで扉は自動で開く仕組みになってる。
ただし、ダンジョンの場合は扉に罠の魔法がかかってたりもする。
今はコマンドが出ない為に、その罠の解除すら出来ないという状況だ。
「魔法とか使えんのかな?」
基本、剣士の俺は回復や毒消し程度の最低魔法しか使えない設定になってる。
正直、最悪の状況なのに俺の気持ちはワクワクばかりしてる。
28にもなって勇者になりたいとか夢見るオタクなんか俺ぐらいだと自負はある。
それでも俺はデュセリオンというゲームの世界が堪らなく好きだ。
そのデュセリオンでの新しい世界の扉を開く快感に魅了されてる俺は罠とか考えずに立ちはだかる門に触れてみる。
ギィィィ…。
ゆっくりと門が開いてくれる。
丁度、俺が1人だけ通れる幅に開く門から早く入れと言われてる気分になる。
「よっしゃっ!」
門が楽勝なら、きっと大魔王も楽勝だ。
楽観的な思考でポジティブに門の中へと侵入する。
今頃はスレイブの掲示板に俺の名前が出てる?
そんな想像しただけで鼻の下が伸びるほど、だらしない笑みを浮かべて前へ前へと突き進む。