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大魔王の子を孕みます
第2章 大魔王屋敷
罠かも?
とは思いつつも、下手に光魔法を使ってMP消費をしたくない心理が俺を明るい方へと向かわせる。
俺が廊下を歩き出せば、ロウソクの灯りは俺を案内するかのようにポッポッと先の道を照らし出す。
何度か廊下を曲がり、自分の位置がわからなくなる。
コマンドツールが使えないからマップ記録も使えない。
「馬鹿運営め…。」
そう呟いた頃、ロウソクの灯りはある扉の前でチカチカと不自然に点滅を繰り返す。
一度も行った事はないが、リアルで学生時代に友人だった奴が言ってた安っぽいラブホテルの無人案内がこんな感じなんだろうとイメージが湧いて来る。
「大魔王様がラブホで待ってるイメージとか止めてくれ。」
ロウソクが点滅を繰り返す扉は至って普通サイズの扉だ。
貧乏サラリーマンの俺にでもわかるくらい、立派な木で出来た扉には違いないが観音開きの2枚扉であるという以外は本当に平凡な扉だと思う。
なんと言うか、こう…。
大魔王が存在する部屋は赤い絨毯が敷き詰められた玉座がある王の間でないと納得がいかない。
そういう立派な部屋に入る扉は平凡でなく、もっとゴテゴテした感じの扉を期待する。
ひとまずは、その平凡な扉に触れてみる。
平凡な扉はやはり自動でゆっくりと開かれる。
そして俺の目に入って来た風景とは…。
「台所?」
という場所だ。
ヨーロッパ風でL型のキッチンが壁に収まった台所…。
中央にはアンティークな白い調理台があり、床はリノリウムのタイルが張られてる。
エメラルドグリーンの壁に白いキッチンという爽やかな台所は大魔王の屋敷に全く相応しくないとか考える。
しかも、そのアンティークな調理台の向こう側に人が居る。