この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
大魔王の子を孕みます
第2章 大魔王屋敷
そいつがゆっくりと俺の方へと視線を向ける。
漆黒でストレートな長い髪を後ろで1つに束ねてポニーテールにしたキザ男という第一印象だった。
なのに、俺の目はそいつに釘付けにされる。
なんて綺麗な紫の瞳…。
鋭い刃物の様な視線を繰り出すキツい目をしてるのに…。
深い紫の瞳が神秘を奏でて俺を見る。
チャイナ服のような詰め襟の白く長いローブを着て脚にピッタリと張り付くシルクような黒いスリムなズボンを履いており男にしておくには、やたらと麗しい顔をしたキザ男…。
1つだけ残念なのは、そのキザ男の右頬には10cm近くある古い傷が耳に向かって伸びている事だ。
その古傷を割り引いてもかなりの美男子であるキザ男にオタクで女にモテない俺は気分が悪いとか考える。
しかもっ!
そのキザ男はフリルの付いたエプロン姿で銀色のボールと真っ白なクリームが付いた泡立て器を手にしてる。
そんな間抜けな姿なのにカッコいいとか許せない。
これが大魔王?
…な、訳ないよな。
存在が、よくわからないNPCに狼狽える。
「何者だ…?」
俺を見据えたままキザ男が口を開く。
お陰で俺は混乱する。
NPCが人に話し掛ける事は有り得ない。
だとすれば、彼はNPCでなく俺と同じプレイヤーで人間という事はなる。
しかし、大魔王の城…、いや屋敷に誰かが潜入したという連絡はなかった。
もしかして、コマンドバグで俺だけが運営からのお知らせメッセージを受信出来なかったのか?
とにかく彼が人ならば話をして情報を集めようと思う。
「あのさ、俺は剣士『シロ』、白の剣士ってデュセリオンじゃちょっと名の売れた剣士なんだけど、大魔王ライズが居る城ってここで合ってるのかな?」
デュセリオン初心者に話し掛ける時のように気さくな感じで謎の男に話をする。