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大魔王の子を孕みます
第14章 勇者
今までは感覚的過ぎて、わからなかった事がセラフの言葉で少しづつ理解が出来るようになってる。
大魔王はそうやって愛した女を守ってる。
セラフの愛が本物なら、ライズの愛も本物だと信じるしかない。
少し離れた場所にガーラを残し、手にはコンパクトを握り教会の扉の前に忍び寄る。
扉の隙間からコンパクトの鏡を使い中の状況を確認する。
ロウソクの灯りが見える。
人の姿だけが見当たらない。
灯りがある以上は人が居るはずだ。
慎重に扉を開けて中へと踏み込んだ瞬間だった。
俺の目から火花が散り、後頭部にとんでもない激痛が走り、俺は手すら使えずに、そのまま教会の床に突っ伏していた。
次に目を開けた時は激しい吐き気と頭痛が俺を襲って来た。
これは脳震盪だ。
頭に打撃を受けたせいで脳がグラグラと揺すられてる。
人生で2度目の脳震盪だ。
あれは小学校に入ってすぐの頃…。
買ったばかりのVRゲームがやりたくて学校帰りは通ってはいけないと言われてる公園を横切った。
サッカーをやってる俺よりも大きな少年が数人居た。
「危ないっ!」
誰かがそう叫び無防備だった俺の頭にサッカーボールが激突する。
それが生まれて初めての脳震盪の経験って奴だ。
それだけなら笑い話で終わる。
問題は脳震盪を起こした俺を残してサッカー少年達が逃げた事から始まった。
状況を知らずに通りすがりの人が倒れて動かない俺の為に悲鳴を上げて救急車を呼ぶ。
辺りは大騒ぎ…。
公園で小さな少年が何者かに襲われたと警察までやって来た。
俺は救急車で病院に運ばれ脳震盪が落ち着いてからサッカーボールの話をした。
別に少年達を責めるつもりはなかった。