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大魔王の子を孕みます
第2章 大魔王屋敷



笑顔を作り、生クリームを泡立ててる顔の綺麗な男に1歩踏み出して近付いてみる。

次の瞬間…。


「無礼者っ!それ以上は近寄るなっ!」


と甲高い声がする。


「へ?」


声の主はキザ男でなく、キッチン台の向こう側から聞こえる。

キザ男に気を取られてて気付かなかったがキザ男の隣には小学生くらいの小さな女の子が寄り添ってる。

紫の髪に血を思わせる真紅の瞳の少女。

どこか古臭さを感じさせるロリータな黒いドレスを着た少女はキザ男を守る姿勢でキッチン台の横に立つ。


「君、お名前は?」


なんとなく、子供相手の話し方になってる。

アミルさんの事を考えれば、迂闊に子供扱いすれば痛い目を見るとわかってたはずだった。


「この…、無礼者がっ!」


怒りに瞳を真っ赤にさせた少女が軽く右手で薙ぎ払う仕草をすれば俺の目の前に黒い炎の壁が燃え上がる。


「イフリート…ウォール…。」


この小さな少女がそんな上級魔法を使うのかと驚愕する俺をキザ男が鼻で笑う。


「攻撃を止めなさい。リリス…、これには色々と聞きたい事があるのだから…。」


やんわりとキザ男がリリスという名の少女を諭す。

俺だけが状況の把握が出来ずに狼狽える。

俺が知る限り、少女が使った上級魔法は大魔道士のアミルさんですら使えない。

あの上級魔法は剣士が勇者になるのと同じで魔道士が賢者にならなければ使えない。


「なあ、もしかして…、あんたは勇者なのか?もう大魔王ライズを倒して勇者と賢者のジョブを手に入れたって事なのか?」


興奮する俺はキザ男に向かって聞く。

キザ男は再び、フッと鼻で笑う。


「ライズを倒す?何を馬鹿な事を言ってる。お前が言う大魔王ライズとは…、この私自身の事だ。」


美しい紫の瞳をする綺麗なお兄さんは俺に向かって自分が大魔王なのだと宣言する。


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