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大魔王の子を孕みます
第2章 大魔王屋敷
「えっ?」
お兄さんの言葉が理解出来ない。
大魔王ライズは運営が造ったNPCのはず…。
「またまたぁ…、ご冗談を…、あっ!わかった。お兄さんってば勇者のジョブを独り占めとかしたいタイプ?」
冗談だと思うしかない。
「勇者に?大魔王である私がそんな物になる必要はない。」
ライズを名乗るお兄さんは手にした泡立て器で生クリームを混ぜながら優雅に笑う。
「馬鹿なのか?お前…、そもそも勇者などという存在は5千年も前に大魔王様に殺されてる。」
今度はリリスが俺を馬鹿にする。
「は?勇者が殺されてる?勇者は大魔王ライズを倒してから貰えるジョブだぞ。」
「お前は本当に頭が悪いのだな?本来、大魔王様を倒すには勇者になってる人間でなければ倒せないとされている。しかしながら、その勇者ですら、この偉大なる大魔王様の力の前では虫けら程度の存在でしかなかったのだ。」
リリスがクックッと笑いながら勝ち誇る。
背筋に何かが走るみたいにゾワゾワする。
勇者が虫けら?
俺の本能が、この状況はやばいと脳に向かって囁く。
恐怖を感じてる。
デュセリオンはあくまでもゲームだからと恐怖なんか感じた事のない俺が謎過ぎるキザ男を怖いと思う。
そっと腰にある剣を確認する為に握れば
「余計な動きをすればお前は消滅する…。」
とライズが俺の鼻の前にクリームの付いた泡立て器を突き付ける。
「ひぃっ!?」
足が竦み、身動きが出来ず悲鳴を上げる。
薄い唇の口角が笑みを作り出して上がるのにライズの紫の瞳は冷たく全く笑ってない。
そのライズから沸き立つドス黒いオーラ…。
NPCじゃない…。
だが、プレイヤーという人でもない。
彼はライズという本物の大魔王…。
恐怖と絶望を纏い、人類を滅亡に導く悪魔の中の悪魔である。