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大魔王の子を孕みます
第4章 温室
ライズの方は相変わらずのマイペースだ。
穏やかな笑顔のまま
「セクハラとはなんだ?」
とか聞いて来る。
「だから…、その気の無い女に触ったりキスしたりする行為をセクハラって言うのっ!」
「だから…、シロはどうすれば、その気になるのだ?」
結局のところ話はぶり返しになる。
「それはだな…、例えば、相手の男の事を色々と知ってから、その男をいいなって思ったり…。」
なんとなく照れ臭くて、ライズはカッコいいから自然と好きになるとか言えない俺はモゴモゴと口篭る。
「なら、何が知りたい?」
ライズは同じ言葉を繰り返す。
「ライズは…、本当に大魔王なのか?」
俺にとって一番怖い質問をする。
「そうだ。魔族は嘘など言わない。」
「でもさ、俺が居た世界じゃ、大魔王って仮想世界の話にしか存在しないんだよ。そんで、俺はその仮想世界のデュセリオンってとこから来たわけ。デュセリオンはここにあるのか?」
「ある訳ない。シロが言ってる事は支離滅裂だ。シロが居たという世界は仮想という幻だ。幻はこの世に存在しない。」
「じゃあ、アゼルって女神は?デュセリオンはアゼルって女神が創ったって設定になってる。」
そこまで言うとライズの瞳が深い紫に光る。
これは怖い時のライズだと俺の身体が硬直する。
「アゼルという名の女神が居たかは知らぬ。だが神々はこの私が滅ぼしてやったよ。」
冷たく言い放つライズの言葉が胸に突き刺さり、俺の身体が恐怖に震え上がる。
「怯える事はない。」
俺が怖がるとライズは優しいライズへと戻る。
俺の髪を撫でて、そっと俺を抱き締める。
それは暖かくて優しい抱擁で、俺の中で生まれる恐怖は、すぐにでも消し飛んでいく。