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大魔王の子を孕みます
第1章 デュセリオン
「それじゃ、来週の連休に24時間攻略という事で…。」
昔は24時間攻略でも常に誰かが参加してくれてて、飽きる事なくクエストをやり続ける事が出来た。
今は24時間とか言うだけで
「顔だけ出すね。」
とか言う人が増えた。
大魔王の魔法を防ぐと言われてるドラゴンの盾やマントをギルドメンバー全員分を集めた事もあるのに…。
そんなワールドアイテムの価値は攻略組が減りつつある現在では価値の無いアイテムにしかならない。
ここまでの装備を持つギルドは俺のギルドだけだという自負が最後のギルドイベントとして大魔王討伐の道を選ばせた。
そうやってオタクの俺に最後の同情だとギルドメンバーがついて来てくれる。
最後くらいメンバーの気持ちに甘えたっていいだろ?
俺がギルド内では一番デュセリオン硬貨の稼ぎがあり、ギルド設立費用やらギルドの根城になるビルの購入も請け負った。
デュセリオン硬貨は魔族やモンスターを倒せば手に入る。
要するにデュセリオン内だけで使用可能な通貨だ。
モンスター退治が苦手な人はリアルマネーをデュセリオン硬貨に変換する事も出来る。
VRとはいえ、そこにはリアルと変わらない現実が存在する。
オタクの俺にとってはデュセリオンこそがリアルだ。
まあ、そのデュセリオンでも唯一、不可能な事がある。
「悪い、そろそろ腹が減ったから落ちる。」
ガーディアンのシエルさんの一言で他のメンバーもログアウトの希望を表示する。
デュセリオンで唯一、不可能とされてるのが食事や排泄、そして性行為…。
幾らヴァーチャルが進化したとはいえ、人の本能的欲求までは満たせないという事実…。
痛覚などの感覚機能は自分でレベル調整が可能ではあるが、かなりリアルに近い感覚が味わえるのに食事が出来ないというつまらない部分で、結局はここがリアルではないのだと証明してる。