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大魔王の子を孕みます
第8章 開かずの間
銀色の髪をオールバックにして銀色の口髭をした渋い老人の姿に俺の心がガッカリする。
「お食事のご用意が出来ました。」
初めてメフィストの声を聞いた。
見た目と同じ渋い声…。
メフィストは眉一つ動かさず、淡々と部屋にあるテーブルへ2人分の食事を並べ出す。
魔族は食事をしない。
つまり、食事は俺とミルの2人分…。
だがメフィストが並べる食事に違和感を感じる。
スープとサラダ…。
パン…。
そして皿に乗ったハンバーグ…。
その横に並べられるナイフとフォーク…。
「メフィスト…。」
「はい…。」
「ライズが来るのか?」
ライズがメフィストは俺の上司になると言ってたが、俺が偉そうな態度を取ってもメフィストはライズに仕えるように俺に仕える態度を取る。
「ライズ様はお越しになれませぬ。」
「何故だ?俺には武器になるものを持たせられないのじゃなかったか?」
テーブルに置かれたナイフを握りメフィストに確認する。
一瞬だけ、メフィストの赤い目がキラリと光る。
殺意でもない。
動揺でもない。
メフィストはライズの言葉に従ってるから俺の扱いに迷いを見せてると判断する。
俺が女王になるメイドだからか?
メフィストを試すように俺は質問を繰り返す。
「ライズはどこだ?」
「お答えは出来ませぬ。」
再び、メフィストの目が赤く光る。
初めて会った時にリリスがそんな反応を見せた。
それは主を守る為の命令を受けてる悪魔の反応だ。
俺にはライズの事を言うなとライズから命令を受けたのだとわかると俺の胸の奥に痛みが走る。
「ライズを探す…。」
俺が部屋を出ようとすれば
「…なりません。」
とメフィストが俺の行く手を阻もうとする。