この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
大魔王の子を孕みます
第8章 開かずの間
誰も彼もが俺をライズに会わせまいとする。
「邪魔すんなっ!」
メフィストを避けて扉を出れば、端が見えない廊下が俺の前に伸びてる。
その廊下を走り、目に付いた扉を片っ端から開けて回る。
「ライズ…。」
「ライズ。」
「ライズっ!」
まるで狂ったストーカーだ。
開け放つ扉の中はトイレや風呂、書斎などの平凡な部屋だが中は無人でライズの姿は見当たらない。
「ライズってば…。」
泣きたくなる。
何個、扉を開けたかわからない。
メフィストが俺を追いかけて走って来る。
次の扉のドアノブを握れば
「そこは開けてはなりませんっ!」
とメフィストが目を見開いて俺に叫ぶ。
メフィストの慌てぶり…。
しかも、扉の向こう側でカサカサと音がする。
ライズが慌てて隠れてる?
もしかすると、他の女と一緒に居る!?
俺の頭の中じゃ、ライズはただの女ったらしの浮気男…。
覚悟しろっ!とばかりに俺は勢いよく扉を開く。
「ライっ…!?」
まで叫んで頭の中が真っ白になる。
扉側から部屋の奥へと黒い波がカサカサと音を奏でて波打ち、広がりを見せる。
「ヒィッ!?」
悲鳴を上げて廊下に座り込めばメフィストがバンッと扉を閉める。
「この部屋だけは絶対に開けてはなりませんっ!」
髪を振り乱し、青い顔をして俺を睨むメフィストにうんうんと素直に首を振る。
奴らが大量に居る部屋…。
黒くて脂ぎったツヤツヤの奴らが蠢く部屋…。
「メフィスト…、あれって…。」
「大丈夫です。この部屋に張った結界で、あれは全て封じ込めております。」
「でも…、いっぱい居たよ。」
「今は闇夜で繁殖期ですから…。時期が来れば数は減ります。」
太古から生きる奴らは数は減っても絶滅する事はないらしい。