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大魔王の子を孕みます
第8章 開かずの間
腰が抜けてた。
扉の向こうでは奴らがカサカサと蠢く音がする。
「ヒィィイッ!」
涙が出そうになる。
俺…、何やってんの?
自分にそう質問する。
ライズが俺に会いたくないなら放っておけばいいじゃん。
元々、俺は勇者になる為にライズを倒しに来た剣士じゃん。
ライズに女にされて勝手に子供を孕めと押し付けられたメイドなんか無理してやる必要なんかないんだよ。
「ふぇぇぇぇっ…。」
馬鹿みたいに涙が出る。
神様…。
勇者様…。
馬鹿な俺を助けてよ。
俺はもう勇者にはなれないから…。
ライズが必要としないメイドなんかゴっちゃん達と一緒に閉じ込めればいいじゃん。
見苦しく泣きながら、この世界から消えたくなる。
俺が帰りたい世界なんか何処にも存在しないのに…。
ライズに拒まれただけで、この世界にも俺の居場所が無いと思って泣き喚く。
「また泣いてるのか?」
俺の頭の上から呆れた声がする。
その声の主が俺の目の前に手を差し出す。
「ほら、おいで…。」
紫の瞳の持ち主が俺の欲しかった場所を与えてくれる。
「ライ…。」
ライズが俺を抱っこして俺の涙を舐め上げる。
「どうした?まだ怖かったのか?」
疲れ切った表情のライズが優しく聞いて来る。
「どこ…。」
行ってた?
そう聞きたいのに言葉が出ない。
ヒックヒックと泣きじゃくる俺の背中をライズが摩る。
「お前達はしばらく下がってろ。」
廊下の端に控えてたメフィストとミルにライズが言う。
「ですが、ライズ様…。」
メフィストが厳しい目付きでライズを見る。
「大丈夫、今夜くらいはもつ…。」
ライズが無理に笑う。
メフィストとミルが立ち去り、ライズは俺をお姫様抱っこのままベッドがある部屋に運ぶ。