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大魔王の子を孕みます
第8章 開かずの間
部屋に入るなり、ライズが不機嫌な表情に変わる。
「食事をしなかったのか?」
子供を叱るような口調に腹が立つ。
「武器になるものは持つなって言ったのはライズだろ。」
ライズの鼻先に嫌味ったらしく持ってたナイフを突き付ける。
冷静なライズは俺の手から、そっとナイフを取り上げて俺の額に口付けする。
「なあ、シロ…、今は闇夜が来る時期だ。だから私はシロの傍に居てやれない。」
悲しみを滲ませる紫の瞳が俺を見る。
「色々な魔族が暴走して…、ライズが忙しいからか?」
「そうじゃない。私自身が暴走する。闇夜は魔族を狂わせる。魔力が高い者ほど、その影響が大きくなる。」
つまり、大魔王であるライズが一番暴走して危険だという意味をライズが俺に理解して欲しいと話をする。
「それでも俺はライズと居たい。俺はライズのメイドだし…。」
「それは無理だ。シロは人間で人狼にすら抗えなかった。私の傍に居ればシロの身体が塵になる。」
暴走して理性を失くせばライズであっても俺を殺す。
だから俺はライズの帰りを待つしかないのだとライズが言う。
「なら…、いつまで待ってればいいんだよ?」
闇夜がどのくらい続くのかがわからない。
「新月が来ればシロの傍に居てやれる。」
時間の概念がないから、いつという約束が出来ないらしい。
闇夜が3日で終わるのか?
ひと月掛かるのか?
新月が始まらないとわからない。
月はもう半分以上、欠けてる。
ライズは限界ギリギリまで俺と居てくれると約束する。
「リリスはもう眠りについた。メフィストもシロの面倒は見られない。だからミルがシロの面倒を見る事になる。」
俺をベッドに引き入れてライズが闇夜の間の説明をしてくれる。