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永遠
第11章 10年
村瀬と碧の関係は、その一度きりであった。
その後も村瀬は何度となく碧に声をかけ、時には「二人で会いたい」と走り書きしたメモを碧の手に滑り込ませたり、キャンバスの人気のない場所で碧を抱きしめようとさえした。
その目にはいつも訴えるような燃える光が宿っていた。
しかし碧は村瀬にメールアドレスさえ渡さなかった。
雷雨の日の部室での出来事から卒業までの約三年間、碧を支えたものは、村瀬への募る思いであったと同時に、妻子ある人にこれ以上抱かれてはいけないという碧の精一杯のプライドだった。
そして卒業から10年、すでに人妻となっていた碧に届いたのが同窓会の案内だった。
「先生に、会いたい」
その後も村瀬は何度となく碧に声をかけ、時には「二人で会いたい」と走り書きしたメモを碧の手に滑り込ませたり、キャンバスの人気のない場所で碧を抱きしめようとさえした。
その目にはいつも訴えるような燃える光が宿っていた。
しかし碧は村瀬にメールアドレスさえ渡さなかった。
雷雨の日の部室での出来事から卒業までの約三年間、碧を支えたものは、村瀬への募る思いであったと同時に、妻子ある人にこれ以上抱かれてはいけないという碧の精一杯のプライドだった。
そして卒業から10年、すでに人妻となっていた碧に届いたのが同窓会の案内だった。
「先生に、会いたい」