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永遠
第12章 会いたかった
同窓会の会場で、碧の目は村瀬の姿しか捕らえていなかった。
あれから10年。たしか先生はもう五十半ばにはなっているはず。
でも少し髪に白いものが混じった以外は殆ど変わらない。
相変わらず穏やかな笑顔、静かな物腰。
きれいな指をひらひらと動かしながら元女子大生達と何か楽しげに話し込んでいる姿を見た瞬間、身体の一部に熱いものが走るのを感じ、すこし恥じた。
私はもう人妻なのだ。
五歳になる息子もいる。
今夜は預かってくれたおばあちゃんにひさびさに甘えてはしゃいでいるだろう。
夫はごく普通の真面目なサラリーマン。セックスも標準的なペースで、決して碧に無理強いはしない優しい人だ。
満足している。
そう思っていた。今、目の前に村瀬の姿を見るまでは…。
そんな碧の熱い視線に気づいたのか、村瀬が視線を送り返してきた。
弾かれるように一歩後ずさりしたが後は身動きできなかった。
村瀬は卒業生たちの輪から半ば強引にするりと抜け出し、碧のそばに大股で歩み寄ってきた。
「…会いたかった」
それが村瀬の第一声だった。
あれから10年。たしか先生はもう五十半ばにはなっているはず。
でも少し髪に白いものが混じった以外は殆ど変わらない。
相変わらず穏やかな笑顔、静かな物腰。
きれいな指をひらひらと動かしながら元女子大生達と何か楽しげに話し込んでいる姿を見た瞬間、身体の一部に熱いものが走るのを感じ、すこし恥じた。
私はもう人妻なのだ。
五歳になる息子もいる。
今夜は預かってくれたおばあちゃんにひさびさに甘えてはしゃいでいるだろう。
夫はごく普通の真面目なサラリーマン。セックスも標準的なペースで、決して碧に無理強いはしない優しい人だ。
満足している。
そう思っていた。今、目の前に村瀬の姿を見るまでは…。
そんな碧の熱い視線に気づいたのか、村瀬が視線を送り返してきた。
弾かれるように一歩後ずさりしたが後は身動きできなかった。
村瀬は卒業生たちの輪から半ば強引にするりと抜け出し、碧のそばに大股で歩み寄ってきた。
「…会いたかった」
それが村瀬の第一声だった。