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魔王様の寵愛
第1章 魔王様の御迎え。

ぱちり。
目を開くと、見知らぬ豪華な天井が視界に入って来た。
夢の内容なら、何となく覚えてる。
思い出してみても、あれは私が悪い。
···、小さな頃の私、なんて事してくれたの。
「はぁー···」と、憂鬱な気持ちが混じった重いため息を吐いた。こんなに気分最悪な目覚めはいつ以来だろうか。
「目がさめましたか?」
「···。どちら様ですか」
ぼんやりと天井を見つめていると、私の寝ているベッドの横には男の人(?)がいたようで、椅子に腰掛けて私の様子を見てくれていたようだった。真っ黒い黒髪に、キッチリした真っ黒い燕尾服に身を包み、紅茶色の瞳をこちらへと向けていた。···どこのセバス〇ャンですか。それはさておき、嫌な夢を見たせいで不機嫌な声が出てしまったのは申し訳ない。
「私はあなたの執事をするように申し付けられました、ブライトと申します」
「執事···?」
「どうやら、ユカ様は記憶が混乱されている様子。今夜はもう遅いですし、今しばらくごゆるりとおやすみくださいませ。ジェイド様の魔法は強力ですから、まだ体の調子も本調子と言う訳にもいかないでしょう。さぁ、こちらをお飲みください」
魔法とは··?
寝ぼけている私は、彼の言葉が理解出来ないでいた。もしかするとこれは夢なのかも知れない。差し出されたティーカップを受け取り、程よく冷めたハーブティーみたいな飲み物を口に含んだ。喉を通る清涼感にほんのり香る花の香りに包まれて、私の瞼は自分の意識とは別にゆっくりと下りて行った。

