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魔王様の寵愛
第2章 魔王様、溺愛する

 「えっ!?ちょっとまっ···うぎゃぁぁぁぁああああ!?」

 体をお風呂に入るために無理矢理連れてこられたその場所は、私のお風呂のイメージとは程遠い、まるで神殿のような造りをしていた。

 侍女であろう3人の内の1人が、急ぎ私のネグリジェを脱がせてしまう。パニクった私は痴漢に襲われたような(襲われた経験などないけれど)悲鳴をあげた。

 「妃になろうともあろうお方が、···はぁ。ただ服(ネグリジェ)を脱がせているだけなのですから、そんな恐竜の子供のような声をお出しにならないでくださいまし!!」

 最もな意見だった。
 彼女達は、ただ"仕事"をしているだけなのだから。

 「いや··でも、お風呂くらい1人で···」

 「何を仰います!!姫さまのお世話をするのがわたくし共の務め、それにこんなに瘴気にやられてしまっているのですから、···」

 やんわりと断りを入れようとしたけれど、無理なようで、早い話が自分達の仕事を取るなと叱られてしまった。これは何を言っても引きそうにはないだろう。私は借りてきた猫よろしく、大人しくする事にした。

 上から下まで隅々まで綺麗に洗われた所で、私はふらりと一瞬軽い目眩を覚えた。頭がフワッとしたくらいで、体はふらつきはしなかったが、ただ逆上せただけだと、この時の私は安易な考えをしていた。

 まさか、瘴気の毒が体中に回っているとは思いもしなかった。

 「さ、姫さま。こちらにお召かえを···ベッドの準備は既に整っておりますので、お急ぎください」

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