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片時雨を抱きしめて
第3章 第三章 記憶
時計の針が正午を指す少し前くらいに、先生は帰ってきた。
先生は私が起きているのを見てただいま、と言った。
おかえり、というのも少し違う気がして、私は小さくおはようと返した。
「昼ごはん、食べる?」
先生はスーパーの袋を台所に置いて、私のほうを見た。
順光の位置に先生はいた。
明るく微笑む先生は、すごく綺麗だった。
ぼうっと見とれる私の眼差しに気づいた先生は
顔を少しだけ変にして、肩をすくめて笑った。
私はそれをみて少しだけわらって、食べる、とうなずいた。
先生は具材のたくさん入ったチャーハンを自慢げに私に食べさせた。
味の濃い、乱暴な味だったけれど私はおいしいと言い、先生はまた満足げにうなずいた。
先生のそのアンバランスさが愛おしい、そう思った。
先生への私の気持ちは、さめることがなかった。さめるわけが、なかった。
お腹の底はまだ疼いたままだった。先生との距離が近くて、甘い。