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片時雨を抱きしめて
第3章 第三章 記憶


今学期ももう終わりに近づいていた。
期末試験が近づき、だんだん教室に緊張が走っていく。
私の唯一の友人も、珍しく休み時間に課題をするようになっていた。
自然と、口数が減っていく。


私の日常は、何も変わることはなった。
ママは相変わらず恋人と夜を過ごすことが多く、家を空けた。
あれから大きな喧嘩もなく、私たちは核心的なことを何も話さなかった。
先生にもらった奨学金の案内は、生徒本人のみで借りられるものも多くあった。
ママに何も話す必要はなく、私はたんたんと準備を進めている。
心なしかママは綺麗になった。きっと恋人とうまくいっているのだろう。


先生とも、関わりはどんどん減っていった。呼び出されることはなくなり、
私の進路希望は学費の安い国公立大学への進学と一応は決まった。

HRと現代文の授業のみ、義務的にかわされる会話。
先生と、生徒。
それ以上でも、以下でもなかった。

先生はもう、あの夜を忘れてしまっているかもしれない、そう思うようになった。
それでよかった。ただの間違いで、それだけで。


忘れてしまいたい、そう、思うのに___、
先生を思うと何度でも甘く疼く。

超えてしまった線を引きなおすには、私はあまりにも幼くて、拙かった。
私の幼さと対になるように、先生はあまりにも大人だった。
もうあれから、先生は私に触れていない。少しも。



「……今はそんなこと考えてる場合じゃない、」
私は目の前の課題に取り組む。
国公立大学への進学は、今の私には夢のような目標だった。着実に目の前のものに立ち向かわなければ、一年後の自分に合わせる顔がない。

勉強をしている間だけは、なにも考えずに済んだ。今の私には、それが救いだった。



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