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片時雨を抱きしめて
第3章 第三章 記憶
「雪乃は? 雪乃の好きな人」
芽衣は私の手をぎゅっと握り返して、そう問うた。
私の、好きな人____、芽衣には言えない。
この思いはずっと秘めておこうとあの夜誓った。
誰にも、誰にも言わずに。
そうすれば先生に迷惑は掛からない。
だから、
「ん、私はね……、」
「青木でしょ?」
「______え?」
芽衣がとなりでくすくすと笑う。
「見てたらわかるよ、雪乃わかりやすいんだもん」
想定外のその発言に、私はまたえ、と声を漏らす。
それを聞いた芽衣がまたけたけたと笑った。
「だって雪乃、青木と話してるときすっごいなんか、女の子って感じだもん。
いつもはこんなにツンケンしてるのにねえ。
あ、でも大丈夫だよ。ほかの人はたぶんしらないと思う。
私の観察力すごいからなあ」