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片時雨を抱きしめて
第3章 第三章 記憶
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結局芽衣の家を出たのは、二日後の夜だった。
だらだらとゲームしたり、映画を見たり、音楽をきいたりして過ごした。
どこか現実離れした美しい二日間だったと私は言ったが、芽衣にとっては当たり前の日常だったようで、困った顔をして笑っていた。
私たちはたくさん話をして、たくさん笑った。真面目な話も少しだけして、
芽衣は親と同じ東京の大学に行くらしかった。期待、応えなきゃ、そうつぶやく彼女の声がか弱くて、私はぎゅっと手をつないだりした。
家から出て、大通りまで私を送った。
「ほんっとありがとね、芽衣。楽しかった」
「こちらこそだよ、またいつでも来て」
先生の話も、いつかきかせて、
そう付け加えてから、私たちは別れた。
あたたかい気持ちで胸がいっぱいで、私は少し跳ねるように歩きながら家に帰った。
大丈夫だ、私はきっと、これからもうまくやっていける。
不確かな自信と、無根拠な幸せが私の心を埋める。
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