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片時雨を抱きしめて
第3章 第三章 記憶



冬至が過ぎたといえど、日が落ちるのはまだまだはやかった。

家に着くころには日はもうすっかりと落ちていて、家の明かりがぼうっと照っていた。
ママにしては珍しい早めの帰宅だと思った。今なら少しだけ、ママとも穏やかに話せるような気がした。
芽衣のこと、話してみようかな___。

「ただいま」

いつもはあまりしない帰宅のあいさつをして、リビングに入る。
すると、いつもよりこころなしか部屋がきれいだった。
ママの荷物が、減っている。

ママは見慣れないスーツケースをもって、何やら身支度をしていた。

「ん、ママ、どっか旅行でもいくの?」

ママは私の声に気づくと、体を小さく震わせた。
おびえるように私のほうに目をやる。ママが少しだけ微笑んで、言う。

「ん、帰ってたの雪乃ちゃん。あのね、きいてほしいんだけど」

ママがいつもより浮ついた様子で声を出す。甘えたような、優しい声音。

嫌な、予感がした。

ママが口を開く。紫の口紅がべたりとついている、その口。

「あたし、しばらくゆうちゃんの家にいるね。ゆうちゃんいまお仕事大変みたいで、そばにいてあげたいの。

ね、わかるでしょ、わかってくれるよね。お金はちゃんと振り込むから」


ママの声が、私の聴神経を通って脳に到着するまでがすごく、すごく長い時間のように感じた。

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