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僕の嫁は幽霊です。
第1章 出会い
指名手配犯のポスターを見たことがあるだろう。
行方不明者のポスターを見たことはあるだろう。
なぜ、逮捕されないのか。
なぜ、発見されないのか。
そもそも警察は探しているのか?
僕は拘置所から脱獄し、とある地方の山中にある廃墟のような神社に住み着くことにした。
この時期は夏。
子供の時に家にクーラーなどなかった。
中学の部活でどんなに脱水症状がでていても水を飲ませてもらえなかった。
そんな経験をした僕でさえ、近年の夏の暑さは耐えられない。
その神社は日中も薄暗く、木々の茂りで空気は澄んでいて、風通しの良い場所だった。
麓に下りては、地元農家の手伝いから、農耕車の手入れなどし、僅かな手間賃と食べ物を分けてもらう生活をする。
捜査の及ばない僻地でも、周囲の目は恐ろしく気になる。
このような生活を続けると不思議と廃墟で寝泊まりをしていても幽霊の類など気にもしなくなる。
そう、この神社の社務所には幽霊がいた。
ここに来てすぐに気づいた。日中の明るい内から、その透けた姿を晒していたからだ。
長い髪はボサボサで、白着物に朱袴の少女・・・巫女の幽霊だ。
僕は社務所には近づかずに物置小屋で寝泊まりをしていた。
ただ、慣れてきた頃に麓の大工屋からでる廃材と古い工具で物置小屋を修理し、その後、社務所の修理もすることにした。彼女の家ではないだろうが、住まわしてもらっている礼の意味もあった。
「ここから出ていけ!祟られたいかっ!!」
室内で大きな音を出せば、彼女に脅されることもあった。
最初は室内では必要以上の音を出さないよう掃除をメインに社務所を奇麗にしていき、彼女の姿が見えると僕は挨拶をかかさなかった。
そうしているうちに彼女は出てきても穏やかな表情になり、ボサボサだった髪をくしで梳かすようになる。
その髪はまるで漆を垂らしたように艶やかで美しかった。どんな黒よりも。
行方不明者のポスターを見たことはあるだろう。
なぜ、逮捕されないのか。
なぜ、発見されないのか。
そもそも警察は探しているのか?
僕は拘置所から脱獄し、とある地方の山中にある廃墟のような神社に住み着くことにした。
この時期は夏。
子供の時に家にクーラーなどなかった。
中学の部活でどんなに脱水症状がでていても水を飲ませてもらえなかった。
そんな経験をした僕でさえ、近年の夏の暑さは耐えられない。
その神社は日中も薄暗く、木々の茂りで空気は澄んでいて、風通しの良い場所だった。
麓に下りては、地元農家の手伝いから、農耕車の手入れなどし、僅かな手間賃と食べ物を分けてもらう生活をする。
捜査の及ばない僻地でも、周囲の目は恐ろしく気になる。
このような生活を続けると不思議と廃墟で寝泊まりをしていても幽霊の類など気にもしなくなる。
そう、この神社の社務所には幽霊がいた。
ここに来てすぐに気づいた。日中の明るい内から、その透けた姿を晒していたからだ。
長い髪はボサボサで、白着物に朱袴の少女・・・巫女の幽霊だ。
僕は社務所には近づかずに物置小屋で寝泊まりをしていた。
ただ、慣れてきた頃に麓の大工屋からでる廃材と古い工具で物置小屋を修理し、その後、社務所の修理もすることにした。彼女の家ではないだろうが、住まわしてもらっている礼の意味もあった。
「ここから出ていけ!祟られたいかっ!!」
室内で大きな音を出せば、彼女に脅されることもあった。
最初は室内では必要以上の音を出さないよう掃除をメインに社務所を奇麗にしていき、彼女の姿が見えると僕は挨拶をかかさなかった。
そうしているうちに彼女は出てきても穏やかな表情になり、ボサボサだった髪をくしで梳かすようになる。
その髪はまるで漆を垂らしたように艶やかで美しかった。どんな黒よりも。