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蕾は開き咲きほこる
第6章 私の頑張り
道を覆うように伸びている枝葉の隙間からこぼれる木漏れ日が神秘的で、シャッターを押したくなる課長の気持ちが分かるような気がした。
それからは写真を撮りながら少しずつ歩く課長の歩調に合わせ、時折吹き抜けていく心地よい風を身体に感じながらお互いに自分の時間を楽しんだ。
かと言って完全にひとりではなく、時折言葉を交わしながらもそれぞれの自分の空間を守りながら歩くことができた。
2キロという短い距離を1時間かけて歩き、ようやく薔薇園に到着した時には、あまりの時間のかかりすぎにふたりして笑った。

「坂上さんとは時間の感覚が同じのようですね。社員旅行の時も思いましたが一緒に過ごす時間が苦痛ではないというのは素敵な事ですね」

それは私も思っていた事で、他人と……男性と一緒にいて苦痛ではない時間を過ごせることが奇跡だった。
まだまだ話をするのに緊張はしても怖いと感じることは一切なかった。
だからさっきの時間も楽しかったし、これから見る薔薇園の薔薇も楽しみとしか感じない。

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