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蕾は開き咲きほこる
第6章 私の頑張り
「とりあえず行きましょうか」
階段の上に薔薇園はあるらしく、数十段の階段を登るとピンク色の薔薇のアーチが私たちを迎えてくれた。
そのアーチを見上げながら薔薇園の中に足を踏み入れると、見るも見事な薔薇の花が咲き乱れ、芳醇な香りが漂っていた。
圧倒される私の横では課長がシャッターを切り始め、先ほどと同じように、お喋りをしながらも自分のペースで園内にある薔薇を見て回ることができた。
ふっと課長の事が気になって振り返れば、課長の真剣な横顔が目に入り、きっと私が見ているものとは違う風景を撮影しているんだろうとワクワクした。
「良い写真、取れましたか?」
ファインダーから視線を外した課長は、今写したばかりの写真を確認して満足そうに微笑んでいたから聞くと、撮ったばかりの写真を見せてくれた。
私の思った通り、私とは全然違う視点の違う写真、黄色い薔薇に呼び寄せられた蜂との写真だった。
それも蜂にピントが当たっているから、背景の薔薇がぼやけてきれいだった。