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蕾は開き咲きほこる
第7章 気づかされる想い
「お店に藤の写真飾ってあったの覚えてる?あれね。実は主人が撮った最後の写真なのよ。その後に喧嘩して事故にあったから良い思い出じゃないんだけど、主人の事や、主人の想いを忘れないために飾っているの。そして、その場所には一度も足を運んだことないのよ。いろいろ思い出しちゃうし怖くて行けないの。だけど、その場所に光春くんは汐里ちゃんと行こうとした。それって止まっていた光春くんの時間が進み始めたって事。それをさせたのは私じゃなくて汐里ちゃんなのよ。私は一緒に留まる事しかできなかったけど、汐里ちゃんは光春くんの時間を進めることができた。だから自分に自信を持って。――それにね。私は今でも主人の事が好きなの。光春くんも素敵な男だけど主人には負けるもの」
最後に桜子さんはそう言って笑う笑顔に愛情の深さを感じた。