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蕾は開き咲きほこる
第9章 キスの嵐
「今日も混んでますね」
いつものように電車に乗り込むと、私を人混みから守るように抱きしめている課長が眉間に皺を寄せながらボソリとつぶやいた。
混雑している電車が苦手な課長は、未だに私のために最寄り駅まで迎えてきてくれる。
その気持ちは嬉しいけど、遠回になるからと断っても混んでいる電車にひとりで乗せられるわけがないと譲ってはくれない。
それに、問題は他にもある。
毎朝守るように抱きしめてくれる課長から伝わる温もりと、顔をあげるとキスができそうな距離にドキドキして課長とキスをしたくてたまらなくなる。
課長も同じようで、我慢できなくなった私たちは社員の目を盗んでは社内のいたるところでキスをしていた。
今日は用事を頼まれ資料室向かって探し物をしていると、あとを追ってきた課長と資料室特有のかび臭い中で熱く激しいキスを交わしている。
誰もいない部屋は静かで、その中で私と課長の吐息と唾液が混ざりあう水音だけが響き何度も唇を重ねた。
だけど、永遠に続けばいいと思える時間でも必ず終わりはやってくる。