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蕾は開き咲きほこる
第10章 クリスマス

「今日のことだって本当はイヤだったはずです。なのに私の気持ちを一番に組んで受け入れてくれた。そのおかげで私も吹っ切れることができたんです。これからは私にとって汐里が一番大事です」

身体を離した光春さんは、両手で私の顔を包み込みながら真っすぐに見つめながら言葉にする。

「末弘との約束よりも汐里が大切なんです」

その言葉に光春さんの真剣な気持ちは伝わった。
だけど、本当はこんな言葉を言わせたいわけじゃない。
謝って欲しいわけでもない。
私はただ……

「立ち止まると寒さが増しますね。これ以上いたら風邪をひいてしまいそうなので行きましょうか」

私の両頬から手を離した光春さんは暗闇の中歩き出した。
その背中を見ながら私は思う。


――今日だけは……今日だけは、ひとりで夜を過ごしてほしくはない


と……

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