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蕾は開き咲きほこる
第10章 クリスマス
それから私たちは1時間ほどバーで過ごし、タクシーが拾える駅まで歩くことにした。

「この時間になると冷え込みますね。この調子だと明日は雪でしょうか?」

小さな公園に入ると、光春さんは白い息を吐きながら空を見上げた。
その横顔はやはり寂しそうで、知らず知らずのうちに光春さんのコートの裾を握りしめていた。

「どうしたんですか?」

心配そうに私に視線を向ける光春さんに、ただ首を横に振るだけ。
正直、自分でも何がしたいのか分からない。

「私があんな話をしてしまったからでしょうね。別に汐里を悲しませたかった訳ではないんですよ。ただ……汐里には知っていてほしかったんです。私と末弘と桜子さんの間に何があったのか。桜子さんに聞いていたとしても私の口から告げなければ汐里に不安を抱かせ続けると思ったんです」

言葉にしながら私を抱きしめてくれた光春さんは私の気持ちを和らげようとしてくれる。
だけど、言葉にすればするほど光春さんが無理しているように思えてならない。

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