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第11章 イブの奇跡

私が返事をしないのは、先に進もうとする光春さんを怖がっているのだと誤解する。
怖いけどイヤではない。
その逆で光春さんともっと深く関わりたいと思っている。

『イヤじゃないです。ただ初めてで……』

キスから先の経験が私にはない。
前に一度つきあった男性とは先に進むのが怖くて逃げ出した。
だけど光春さんからは逃げ出したくない。
もっと深く関わって光春さんに愛されたい。

『私は……光春さんに、もっと、愛されたい……』

両手で握りしめているブラウスを離し、ありったけの勇気を振り絞って光春さんに伝えた。
光春さんは少し驚いた顔をしたけど、すぐにクシャリと目じりを下げて優しい笑みをこぼす。

『最高のクリスマスプレゼントをもらった気分ですよ』

そう言った光春さんは私をそのまま抱きかかえて寝室に向かった。
そこからの事は正直あまり覚えていない。
ただただ恥ずかしくて、だけど夢のような幸せな気持ちに包まれていたことだけは身体が覚えている――……