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蕾は開き咲きほこる
第12章 昔のキミも今のキミも
「奥さん!!生きの良い魚入ってるよ。晩飯にどうだい!!」
魚屋さんの前を通ると、前掛けをした大将に勢いよく声をかけられ、それも奥さんと言われて目を見開いて驚いた。
「おっ、おっ、奥さん??」
「なんだい、そんなに驚いて。もしかして新婚かい?」
どもる私を見て大将は豪快に笑い、新鮮な魚を旦那さんにどうだいと勧められた。
旦那さんと呼ばれた光春さんに視線を向けると、光春さんはメガネの淵を人差し指であげながらフッと笑う。
「お刺身にするにはどれがいいですか?」
「お刺身だったら鯛やカワハギがおすすめだ。あとはブリもいいね。必要ならお造りにするかい?」
「そうですね……では、その3つと貝を適当に鉢盛にしてもらって良いですか?」
「はいよ!ちょっと待ってな」
大将は鯛とカワハギとブリを手に奥に入って捌き始め、私たちは店の邪魔にならないように端に避けて待つことにした。