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蕾は開き咲きほこる
第12章 昔のキミも今のキミも
「明日、持っていくんですか?」
「ええ。手ぶらで来てくれとは言われましたけどね、お酒でも買って行こうとは思っていたのでちょうどよかったです。――それに、汐里の事を奥さんと呼ばれて奮発しちゃいました」
「しちゃいましたって」
その言い方が可愛くて笑うと、光春さんは少し腰を落として私の顔を覗き込んでくる。
「汐里は嬉しくなかったですか?周りに夫婦だと思われて私は嬉しかったですよ」
覗き込まれるとキスができそうな距離にドキドキして、その唇と舌でキスをして欲しいと欲情した。
そんな私の気持ちを表情で読み取った光春さんは、人目も憚らずキスをする。
「み、み、光春さん??」
キスしてほしいと思っていても、こんな人の行きかう商店街の中でキスをされるとは思わず驚いている私と違って、光春さんは意地悪そうに笑う。
「物欲しそうな表情をされたら私もキスをしたくなりますよ。ですが、これだけでは物足りませんね。汐里を強く抱きしめてキスをしたくなる」